俳誌「鷹」590号 | 月光集

俳句雑誌「鷹」2013年10月590号

——— 月光集より抄出

粗鉋〔あらしこ〕の刃音ねむたしかたつむり 岸孝信「記憶」

ぺらぺらの団扇を配る男かな 髙柳克弘「雨の木」

樹はおのがそよぎを聴くや夏の雲 南十二国「朝日」

≫ 解けつつうつれる雲やきりぎりす ≫ 初秋や海はすなほに船航かす

革椅子に腿の張りつく夜蝉かな 黒澤あき緒「渦」

≫ 言ひをへて唇乾く立葵

実篤の絵の古びたり秋の暮 今野福子「浮人形」

桃の汁ゆびをつたへり姉妹 有澤榠樝「八月」

くぬぎ径尽きて水場や蒿雀鳴く 岩永佐保「くぬぎ径」

女待てば乱離骨灰〔らりこつぱひ〕の暑さかな 山地春眠子「癇癪」

≫ 雨脚を見てゐるだけの団扇かな

鉄棒のにぶきひかりや夜の蝉 永島靖子「音」

男の名叫ぶ女や草いきれ 竹岡一郎「敗戦忌」

パイ菓子にさくとフォークや夜の秋 志賀佳世子「頬に風」

水面ゆく水牛の目や雲の峰 天地わたる「太陽」

≫ 百日紅太陽痴れてゐたりけり


衒叟 / 4sun.jp