俳誌「鷹」593号 | 月光集

俳句雑誌「鷹」2014年01月593号

——— 月光集より抄出

新豆腐嵐電が背戸鳴らすなり 岸孝信「亀游ぐ」

切株のあかるき楕円秋めきぬ 南十二国「丁寧語」

コンパスの円に穴あり冬銀河 兼城雄「泣く」

のつぺりと刑務所の塀冬の月

中吊の少女半裸や初電車 髙柳克弘「わかりあへず」

暖炉燃え絵本の王国は不滅

琺瑯のバターケースや秋深し 折勝家鴨「雨」

過去長く未来短し菊枕 市川葉「かつぶし」

神留守の輪ゴムあふれし輪ゴム箱 大石香代子「飯」

トロ箱をはみ出す鱶も糶られけり 上村慶次「新芽」

飴嚙んで十一月の日向かな 黒澤あき緒「口笛」

賃金は袋の中や浮寝鳥 加藤静夫「油絵」

梟の声ふくろふをさみしうす 景山而遊「恋文」

湯豆腐に日々好日となせりけり

夕暮の水の重しよ捨案山子 奥野昌子「席」

月白やお伽噺は短くて

石庭に雨の明るし四十雀 羽田容子「乳汁」


衒叟 / 4sun.jp