俳誌「鷹」595号 | 月光集

俳句雑誌「鷹」2014年03月595号

——— 月光集より抄出

夕闇の白鳥あをく鳴きにけり 南十二国「時計」

湯の町の海山ちかし初雀 岩永佐保「海山」

木挽町ぬけて銀座やみやこどり 蓬田節子「膝の子」

寒月光寝台〔ねだい〕は舟のごと浮む 岸孝信「寝台」

絵襖の臥竜の松も奥三河

鼻の無き魚の貌見て年暮るる 中山玄彦「遠し」

革手套余光の森の息ひそか 大石香代子「余光」

空箱に空箱入れて春遠し 奥野昌子「冬芽」

点滴の無明長夜や雪降れり 市川葉「狐雨」

討入の日なり改札口二つ 加藤静夫「会費」

私より私の匂ふ毛布かな 清水右子「教卓」

かへすべき文たまりたる屏風かな 髙柳克弘「思索」

新しき石鹸の角寒に入る 黒澤あき緒「婚姻届」

大寒や深海の尸〔し〕はつもるのみ 有澤榠樝「ティッシュペーパー」


衒叟 / 4sun.jp