俳誌「鷹」596号 | 月光集

俳句雑誌「鷹」2014年04月596号

——— 月光集より抄出

ガスタンク鴉は寒く寒く啼く 加藤静夫「白紙」

受信して白紙なりけり春一番

枯山に虹爛々と懸かりけり 南十二国「母」

泥鰌皆泥にねむれるみぞれかな

螺子切れて眠る人形雪が降る 蓬田節子「逆波」

大寒の座卓の塵を払ひけり

橋脚をあらふ逆波実朝忌

唐揚のぎらぎらとある聖夜かな 黒澤あき緒「誰かれに」

宝石に小さき値札や春霙

一二行書き加へたる寒さかな 有澤榠樝「尖つちよ」

灯の町の雨しづかなり彼岸入 永島靖子「晴天」

黝々と大河の孤独ふゆざくら 蓜島啓介「光」

あたらしき夕暮来たり手毬唄

山茶花の散るや池の面やはらかし

月冴ゆる乾けば髪の素直なる

内井戸に鯉棲む家や雪霏々と 岸孝信「内井戸に」

恋の夢覚めて炬燵の脚がある 大石香代子「夢」

鷹鳩と化す脚注の米印 志賀佳世子「宇陀郡」

実朝忌道あをざめて海へつづく 榊原伊美「一対一」

畦草を踏めば沈みぬ安吾の忌 島田武重「畦草」

抽斗の中は冷たし春の風邪 奥野昌子「十日」

にんげんのそばに鴉や山笑ふ

血統書掛けて馬房の春日かな 福永檀「杣道」


衒叟 / 4sun.jp