小川軽舟 | 私が選んだ今年の秀句 2018年

2018年12月24日 毎日新聞 朝刊

私が選んだ今年の秀句 / 小川軽舟


汗臭く少女期ありき敗戦日 池田澄子

初河鹿小石が鳴いてゐるやうな 石田郷子

まかり出てただの鴉が初鴉 宇多喜代子

風鈴の下に老人牛乳屋 岸本尚毅

老骨の秘結おそろし厠寒 高橋睦郎

肩車せよと幼霊花月夜 高野ムツオ

蝶発ちて青い地球に影は落つ 高山れおな

一列に連行されてゆく白鳥 照井翠

母の日は雨舳先より濡れはじむ 友岡子郷

すぐ乾くざりがに取りの子の跣 中西夕紀

正月が年々正月らしくなくなる。それでも年があらたまれば、ただの鴉が初鴉になる。あまたある新年の季語を大切に詠み継いでいくのも俳句の大事な仕事だ。